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教育、あるいは人にものを教えること

多くの人というか、ほとんどすべての人が勘違いしていることの一つに、教育がある。
教育とは、その人が持っていないものを教えることでは「ない」。
こんな当たり前のことが勘違いされている。

教育とは、その人が持っていないものを教えることではなくて、その人が持っているがその人がそのことに気づいていないことを引き出すことである。
そもそも持っていない人に教育で何かを持たせることは無理だ。
だから教育者とは持っていないものを持たせる人のことではなくて、持っている人に持っているものを気づかせる人でなければならない。

人に何かを教えられたことのない人、つまり自分が持っていて気がつかないことを指摘されて引き出された経験のない人は、人を教えることは出来ない。
自分が持っているものを気づいた人だけが、他人にも同様の機会を、つまり気づかせることが出来る。

だから、ほとんどの人には教育は無理である。
だって、ほどんどの人は自分が本来持っている才能を誰かに気づかされて、それを開花させた経験がないのだから。
率直に言って、人にものを教えることが出来たのは、音楽家、画家、作家くらいのものだろう。
それも今日の音楽家、画家、作家ではなくて、往時の音楽家、画家、作家たちだろう。

「教育」は今日の日本では「死語」に等しいのだ。
ましてや学校の先生などという既得権益の擁護者には土台求めることなど意味がないくらい不可能なことである。
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