忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

バブルでしょうね。

「ミニバブル」のにおい? 拍車かかるカネ余り相場
編集委員 北沢千秋

2013/3/4 7:00ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 デフレ脱却を目指すアベノミクスと日銀の新しい正副総裁による「異次元の金融緩和」への期待を背景に、株式市場ではカネ余り相場の色合いが一段と強まっている。円相場の下落一服を受けて、前週は企業収益の拡大予想を手掛かりにした買いが一巡。代わって物色の矛先は、不動産、倉庫、電鉄、百貨店などの土地持ち企業に向かった。何やら1980年代後半のバブル相場を思い起こさせるような光景だ。市場は金融緩和による資産価格の本格的な反騰を予見しているのか、それとも物色の手詰まりがもたらした単なる幕あいつなぎの一局面なのか。いずれにしても、昨年11月半ばから続く上昇相場の質は変化しつつある。

■PER15倍の妥当性は

 日経平均株価は大きな節目とみられる1万2000円まであと400円足らず。東証第1部市場では、あれよあれよという間に来期(2014年3月期)予想ベースのPER(株価収益率)は15倍になり、昨年までは1倍割れが常態だったPBR(株価純資産倍率)も1.2倍を超えてきた。バリュエーション(価値評価)がいかに市場心理で大きくぶれるかの好例だ。

 世界の主要市場と比べ、もはや割安とは言えない15倍のPERが正当性を持つのは、あくまで来期業績の大幅増益があってこそ。日経平均が1万2000円を超えてなお上値を追っていけるかは、「3月期の決算発表を見て、市場が来期の業績拡大に確信を持てるかどうかにかかっている」(田辺経済研究所の田辺孝則代表)。

 一方、米国の財政問題やイタリアの政局混迷など懸念材料はあるが、今のところ米国株は高値圏で強張っており、世界の投資家が急にリスク回避に転じる様子はない。決算発表が本格化する4月下旬までは「業績待ち」で、日経平均は高値圏でのもみ合いが続くというのがオーソドックスな相場の見方だろう。

 もっとも、理外の理がまま起きるのも株式市場。相場は業績の裏付けなしで走り出し、オーバーシュート(買われすぎ)する可能性もある。

■カギ握る新・日銀のスタートダッシュ

 「バブルとは言わないが、ちょっとしたミニバブルのにおい」。三井倉庫や飯野海運、三越伊勢丹、東京急行電鉄など、いわゆる「含み資産関連」の銘柄が急騰した先週末の相場をみて、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長はそんな感想を漏らしていた。

 不動産や倉庫、百貨店、電鉄といった土地持ち企業の株価が舞い上がったのは80年代後半。プラザ合意後の円高不況に対応し、日銀が86年1月から87年2月まで5回の利下げを続け、公定歩合が5%から当時としては過去最低の2.5%に低下した時期とほぼ一致する。カネ余りで投機マネーが不動産市場になだれ込み、地価の上昇が本格化したころだ。土地の含み益拡大が大きな買い手掛かりとなり、株式市場ではPERが投資の尺度としての機能を失って、資産価値に不動産の含み益を加えた「実質PBR」などが幅を利かせた。

 そんなバブル期の相場を知るベテラン投資家らが今、当時の連想で「含み資産銘柄」を買っているという。

 藤戸氏は「日銀の新総裁就任で思い切ったリフレ策が予想されるうえ、今はバブル期と違って世界中がカネ余り状態。このカネ余り相場は意外高になる可能性もある」とみる。ヘッジファンドの資産残高の膨張、香港の不動産価格の急騰など、日本以外に目を転じれば、カネ余りがもたらしたバブルとも言える現象はそこかしこに見られるという。株価水準に妥当性があるかどうかは別にして、流れに乗るのもカネ余り相場への1つの対処法というわけだ。

 注目されるのは、新体制となる日銀が4月にどんなスタートダッシュを見せるかだ。市場の期待が膨らみ「大胆な金融緩和」のハードルは高まっており、「市場の失望を招かないために、予想以上の手を打ってくる」という見方がある。そうなれば、カネ余り相場には一段と拍車がかかるに違いない。

■誰がバブルを担うのか

 では、次元の異なる金融緩和はいずれ地価の本格的な上昇につながるのだろうか。カネ余りはバブルを引き起こす大きな前提条件ではあるが、それだけで80年代後半の再現がなるわけではない。誰がバブルを担うかが問題になる。

 「80年代後半、バブル経済の主役を務めたのは事業会社や金融機関。今の日本企業が土地や株式を積極的に購入するとはとても思えない」。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは指摘する。80年代のバブル期、株式も不動産も、最大の買い手はエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)や不動産担保による信用創造を利用できた企業の財テクマネーだった。「今、日本企業がバランスシートを拡大するなら海外進出のためのM&Aが優先課題」という。一方、米国では個人が住宅バブルを演出したが、日本で資産効果を享受できるのは一部の富裕層。賃金上昇もままならない現状では、個人マネーが大挙して資産市場へ向かうとも考えにくい。

 「電鉄株も倉庫株も歴史的に見ると株価はかなりいい水準」。田辺経済研究所の田辺氏は、今からそれらの株式を買う気にはなれないという。「経済の潜在成長力が低下した日本では、金融緩和を続けても総需要は簡単には増えない」というのが理由。そんな田辺氏の目には、倉庫株や百貨店株が含み資産をはやして買われるのは、物色の手詰まりを映した相場の質の劣化とみえるようだ。


PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

プロフィール

HN:
yellowfund2000
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索